それにトランプ大統領は、北朝鮮の非核化には異常なほど関心を持っているが、東アジア全体を総覧できるような人間ではない。
ぶっちゃけて言えば、「同盟国関係を重視したオバマ政権は日韓関係を米国にとっての戦略的要素ととらえていたが、トランプ政権は日韓関係と日米関係とを分けて見ている」(尹徳敏・韓国外国語大学客員教授・元国立外交院長)ということだ。
(http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2018/06/13/2018061300703.html)
(https://toyokeizai.net/articles/-/260149)
トランプ大統領を補佐するマイク・ポンペイオ国務長官はどうか。
米中央情報局(CIA)長官として多少東アジアの安全保障の実態は理解していたはずだが、今は対北朝鮮交渉で手一杯。最近は大統領に急遽、イランの核放棄交渉を命じられて奔走している。
今や瀬島龍三のようなパイプ役は皆無
こうした米国の「家庭内事情」を知ってか知るまいか、日韓、特に韓国には米国に「時の氏神」的役割を期待しているフシがある。
しかし、対韓国では防衛費分担問題では強気の姿勢を見せているトランプ大統領が文在寅大統領の本心を忖度して「親友」の安倍首相に<ここはひとつ大人の対応をしろよ>と妥協を促すような雰囲気にはない。
現在米主要シンクタンクに籍を置く元韓国外交官は、筆者にこう漏らしている。
「かって日韓間には太い人脈があった。ことが起これば、双方が水面下で動いた」
「例えば元関東軍作戦参謀の瀬島龍三氏(当時伊藤忠相談役)が中曽根康弘首相と全斗煥大統領とのパイプ役になり、懸案解決に動いたことがある」
「今は時代も変わり、そうしたことのできる黒幕的存在はいなくなった」
「かっては日韓双方に大物議員がいた韓日議連も政府レベルのタテマエ論をするだけで裏も表もなくなってしまった。大統領が官房長官とやり合うことなどは昔はなかった」