文在寅大統領に対し相反する感情を抱く日本
徴用工問題は長期化しそうだ。解決の糸口がない。最終的には第三国の委員を含む仲裁委員会の設置や国際司法裁判所(ICJ)への提訴といった動きが出てくるだろう。
その過程で東アジアはどうなっていくのか。朝鮮半島はどうなるのか。
主要シンクタンクのカーネギー国際平和基金は1月9日、「Can South Korea's President Moon Make Peace With North Korea?」(韓国の文大統領は北朝鮮との平和を実現できるか)という論文を公表した。
筆者はチャン・ミン・リン上級研究員とキャサリン・ブット研究員。両氏は、文在寅大統領の北朝鮮への急接近について中国や日本がどう見ているかについてこう指摘している。
「中国は韓国に対し、軍事力強化せぬよう、また日米との安全保障協力を弱めていくよう圧力をかける」
「これに対して文大統領は中国との友好的な関係を堅持しながらも南北朝鮮に対する中国の経済的、政治的影響力が過度にならないよう望んでいる」
「一方、日本は文大統領には相反する感情を抱いている」
「日韓両国はその歴史認識で異なる。日本としては文大統領の短兵急な北朝鮮とのデタントが日本の安全保障を犠牲にして行われることを警戒している」
「米国の最大関心事は、文大統領が米国との同盟関係をどう堅持していくかだ」
「米韓同盟は北朝鮮からの脅威を守るために存在してきた。もし文大統領が北朝鮮の脅威はなくなったとして平和条約を結べば、韓国の与党も北朝鮮も中国も直ちに米韓同盟の破棄を求める」
「そういう事態に備え米国は米韓同盟解消に向けた準備をせねばならない」
日韓の大ゲンカは、文在寅大統領ががむしゃらに推し進めようとする南北和解・統一に向けた賭けに組み込まれた形で繰り広げられている――。
これこそが、『壁』のことしか頭にないトランプ大統領は別として、今米国の外交安保専門家たちの総意だ。