ファーウェイの2018年売り上げ予測1085億ドル超 前年比21%増

展示会でのファーウェイの出展ブース(2018年8月29日撮影、資料写真)。(c)CNS/張斌〔AFPBB News

 証券業界を中心として「地政学的リスク」という用語が頻繁に用いられている。

 地政学的リスクとは、ある特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まりが、世界経済全体の先行きを不透明にするリスクのことだ。

 2018年に勃発した米中貿易戦争は、「米中覇権争い」の一環であるが、まさに世界経済全体にとってのリスクであり、多くの識者や研究機関が「米中覇権争い」を2019年における最大の地政学的リスクだと指摘している。

 そして、この米中覇権争いは、「米中のハイテク覇権争い」の様相が濃くなってきている。現在焦点になっているのは「中国製造2025」であり、中国が2049年の中華人民共和国建国100周年までに「世界の製造大国」としての地位を築くことを目標に掲げている。

 「中国製造2025」を批判する米国トランプ政権からは、そこに列挙されている第5世代移動通信システム(5G)などのハイテク10分野で、中国が米国に追いつき追い越す事態を何が何でも阻止するという強い決意が伝わってくる。

 本稿で焦点を当てる5Gは、中国が「中国製造2025」で重視している10の技術分野の中でトップに記述されている最重要な技術だ。

 5Gが普及した暁には、情報通信、自動運転、ロボットなどの無人システム、医療、セキュリティなど多くの分野で革命的な変化が起こると期待されている。

 最近、5Gに関連して、「5Gの地政学(The Geopolitics of 5G)」という表現を使う論考が増えてきた。

 例えば、国際政治学者イアン・ブレマーが社長を務めるコンサルティング会社「ユーラシア・グループ」が、昨年11月15日、“The Geopolitics of 5G”という報告書を公表した。

 また、中国人民解放軍の研究者で有名なエルサ・カニアが中国における5Gの軍事活用に関する論考*1を1月8日に発表している。

*1=Elsa Kania、“Why China’s Military Wants to Beat the US to a Next-Gen Cell Network”