出版社の懸念払拭を図るアップル
ただ、メディア企業の幹部の中には、「メリットもあるがデメリットの方が大きい」と考える人も少なくないと、ブルームバーグは伝えている。
メディア企業は、自社で定期購読サービスを展開している。アップルの端末で、それと同じサービスが提供されれば、自社サービスから利用者が離れていくと懸念している。
こうした懸念を払拭するため、アップルのインターネットソフトウエア&サービス担当上級バイスプレジデントのエディー・キュー氏率いるチームは、メディアの幹部らに会って、説得を続けているという。
新サービスでは、加入者数の伸びに支えられ、出版社の定期購読サービスを大きく上回る収益が得られると、同社は説明している。また、アップルはApple Musicの加入者数が今では5000万人以上に増え、同事業が成功を収めていることを強調している。ただ、ブルームバーグは、「雑誌、新聞サービスが、音楽サービスと同様に成功するかどうかが問題だ」とも伝えている。
出版業界を取り巻く現状
ブルームバーグによると、アップルが2010年にiPadの初代機を市場投入した際、メディア企業の幹部らは、新たなデジタルコンテンツの時代が到来したと、喜んだ。しかし、その後、iPadを利用した雑誌、新聞の購読が大流行したとは言い難い状況だ。
その一方で、印刷媒体の定期購読契約件数は減少の一途をたどっている。また、企業の広告出稿先は、印刷媒体から、グーグルやフェイスブックなどのネット媒体に移っている。こうした出版業界を取り巻く現状が、彼らの対応を慎重にさせているようだ。
「何よりも、メディア企業は、アップルなどのテクノロジー企業のプラットフォームに頼るのではなく、読者と直接つながりたいと考えている」と、ブルームバーグは伝えている。
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