「今後はiPhone、iPad、Macの販売台数を公表しない」
米アップルは11月1日の決算発表で、今後同社がiPhoneなどのハードウエア製品の販売台数を公表せず、その代わりに、ハードウエア事業とサービス事業それぞれの粗利益率を開示すると明らかにした。
「製品構成がかつてないほど幅広いものになり、各製品カテゴリーの販売価格も広範にばらつくようになった。こうした中、販売台数は業績を表すための指標として関連性が低くなった」。アップルのルカ ・マエストリ最高財務責任者(CFO)はこう説明した。
またティム・クック最高経営責任者(CEO)は、「新しい価格戦略の下で進化したアップルの今の業績動向を、より的確に表すための措置」と説明。「店舗で買い物をする際、顧客がレジで最終的に示されるのは商品の個数ではなく、合計金額だ」とも述べたと米ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
アマゾンと同じ道をたどる
同社は1980年代の創業間もないころから、業績動向の指標として、主要製品の販売台数を開示してきた。これに対し、米アマゾン・ドットコムは、自社ハードウエア製品の販売台数を開示しないことで知られている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、こうしたアマゾンの方針について、かつて故スティーブ・ジョブズ氏は、「製品の売れ行きが良ければ、それを皆に教えたくなるだろう。アマゾンが台数を公表しないのは、売れ行きが芳しくないことの証しだ」と述べていた。しかし、それからほぼ10年後、アップルも同様の道をたどることになったと、同紙は伝えている。
スマートフォンの販売台数が世界的に頭打ちになる中、アップルはiPhoneの販売価格を引き上げる戦略で、業績を向上させている。おそらくは、販売台数が示す印象がアップルにとって好ましくないものになってきたということなのだろう。