「閉局する前に水曜日郵便局をひと目見ておきたい!」と旅立った牧村あきこさん。不気味なトンネルをなんとか通り抜け、郵便局の前に立ったとき、目に入ってきたのは謎めいた線路だった。調べてみると、そこには意外な歴史が隠されていた。(JBpress)
「水曜日郵便局が12月5日で閉まってしまう!」この情報が私の背中を押した。
「行ってみたいな」とぼんやり考えていた水曜日郵便局。閉まってしまう前に行っておかないときっと後悔する。重い腰を上げて私は東北に旅立ち、郵便局の前に立った。
だが、そこで目にしたのは謎めいた線路だった。「なんだろう? これは」
「水曜日郵便局」サイトの風景にグッときた!
きっかけはニュースサイトの記事だった。「水曜日郵便局」という見慣れない文字列が目に留まった。
水曜日の出来事を手紙に書いて、この架空の郵便局の住所に宛てて投函すると、同じように郵便局に送られた誰かの手紙が転送されてくるというのだ。ペンネーム・年齢・住んでいる都道府県以外の個人情報は伏せられているので返事を書くことはできないが、誰ともわからない人の水曜日が、少し特別なものとして身近に感じられる、というちょっと変わった試みだ。
紙とペンさえあれば住む場所・年齢を問わず参加できることから、2017年12月の開局から1年で5000通もの手紙が交わされたとのこと。年賀状さえ書かなくなってしまった私でも、引き出しの奥から便箋をひっぱりだしてこようかという気になってしまう。
公式サイト(https://samegaura-wed-post.jp/)のトップページには、「鮫ヶ浦(さめがうら)水曜日郵便局」という大きなタイトルの下に、「本日は、定休日です。水曜日にお越しください。」とそっけない文章が書かれていた。後でわかったことだが、水曜日限定で開局するこの郵便局は、水曜日とそれ以外の日では、トップページの表示が変わる(2018年12月5日にプロジェクトが終了(閉局)したので、現在のWebページの表示は異なる)。が、それより何より、心臓の拍動が1つ飛んでしまうくらい印象的だったのは、PC画面いっぱいに表示されている背景の景色だった。