納税者の立場から、公共サービスの質を第一に考えるとすれば、大学「も」出ているけれど、高校卒業レベル「も」十分にカバーしているわけで、受益者側として苦情が出る話ではないように思われます。
では、何が悪いのか?
「高卒に限る」という人事は、人事採用の公平性に照らして、様々な人に公職の機会を提供するという、別の公平性の観点から「問題がある」とされたことが考えられます。
1980年当時のこの採用の母集団が、どのように限られていたのか詳細は分かりません。
何にしろ「中学卒業程度」「高校卒業程度」「大学卒業程度」など、人口の中には一定の比率で分布があります。
その各々に対して、公共の機関として職の機会を人口割合に配慮して責任をもって配分している、というのであれば、この主張は一定以上の意味があるように思われます。
ただ単に「規則を破った」というだけであれこれ言うよりは、根拠に説得力があるように思われます。
教育自由化の光と影
報道によれば、この男性事務職員の人は1978年3月に大学を卒業していたそうです。1954~55年頃に生まれ、現在63歳、勘定は合います。
その後1978、79年の2年を経て、1980年5月から、高卒に限定されている職種を受験して合格、地方公務員として38年間勤続していたとのこと。
この間、2006年に全庁の学歴調査が行われた際も、上司に虚偽の報告(大学を卒業していた事実を伏せて、最終学歴は高卒であると報告したのでしょう)をしていたものが、今般「市が匿名の通報を受けて確認」したところ発覚した・・・と報道は伝えます。
こういうとき、この人の人生の選択と行動、38年間つまり人生の最良の時期の大半をこの人は公務員として(多分実直に)務めてきた。その全体の善し悪しを、少なくとも私は、あれこれ言うことができません。