この「懲戒免職」は、もう一つ、神戸市という地方公共団体の人事であったことが、大きく影響していると思われます。

 つまり、この職員の人は、38年間にわたって神戸市民の収める税で養われ、勤続してきたわけで、それが長期にわたったことが労われるのではなく、悪質であるとして「懲戒」という重い処分を受けているのだと思われます。

 そこで、公共サービスにおける人事の条件、として、問題をより一般的に考えてみたいと思います。

能力面から考えると・・・

 一般に「学歴詐称」というと、自分が持っていない学位を保持している状況が大半であるように思います。

 すなわち、大学学部しか出ていないのに「修士を持っている」「博士を取得している」とか、学歴とはちょっと違いますが、医師免許を持っていないのに、所持していると偽るとか、そういうタイプですね。

 大学卒業程度、例えば医学部の学部課程を修めていないと、その先に進めない、というような条件があるとき(例えば医師国家試験受験資格ですが)、こうしたシバリは厳密なものにならざるを得ないでしょう。

 しかし、高校を卒業した後、大学も卒業している人が「自分は(少なくとも)高校は卒業しています」というのは、学歴自体を詐称はしていないわけです。

 必要に応じて卒業証明書なども取り寄せることができますし、そこには、高校卒業以降の職歴や学歴が記されているわけではありません。

 もし、その人事にあたって「能力面」から<高校卒業>「以上」が要求されているのだとすれば、今回の神戸市のケースは、全く問題になっていないはずです。