ポンペオ長官の以上の言明は、明らかに韓国の文在寅政権に対する苦情と警告だった。
文政権は最近、南北朝鮮を通る鉄道やパイプラインの開通を提唱し、韓国主要企業による北朝鮮への投資などを論じるようになった。トランプ政権はそうした韓国の姿勢に警戒を強めている。米国政府が北朝鮮の核兵器完全廃棄を求めてきたにもかかわらず、文在寅大統領はそれを無視し、北朝鮮が求める韓国との軍事緊張緩和、経済交流開始を進めてしまうのではないかという警戒である。
米韓を離反させたい北朝鮮
ポンペオ国務長官は2018年8月、腹心のスティーブ・ビーガン氏を北朝鮮担当の特使に任命した。ビーガン氏は同10月にポンペオ長官とともに北朝鮮を訪問したが、その後は北朝鮮側と接触することに成功していない。北朝鮮が連絡の窓口を閉ざしているからである。
北朝鮮はその一方で、韓国の文政権との距離はひたすら縮め、韓国をトランプ政権から引き離そうとする動きを次々にみせる。韓国との融和的な措置を大幅にとりながら、核廃棄を進めるための措置はとらない。そうした北の動きには、米韓を離反させようという意図が見え隠れする。