(古森 義久:ジャーナリスト、産経新聞ワシントン駐在客員特派員)
北朝鮮への対応をめぐり、米国と韓国の間の食い違いがますます深まりつつある。背後には、米国のトランプ保守政権と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)リベラル政権との基本的な世界観のズレが存在する。そのズレには、韓国政府の日本に対する感情的な態度への対応も含まれているようだ。
ポンペオ米国務長官が文政権に警告
米韓両政府のこの食い違いは、トランプ政権のマイク・ポンペオ国務長官の11月20日の発言でも明らかにされた。同長官は国務省での記者会見で、韓国政府に次のような警告を発した。
「米国政府は、北朝鮮が核兵器を破棄せずに韓国との関係改善による恩恵を享受し始めたことに懸念を抱いている」
「米国政府は韓国に対して、朝鮮半島の平和実現と北朝鮮の非核化が、南北朝鮮接近よりも遅れないよう、再三念を押し、求めている」
「北朝鮮の対韓関係改善による経済利益の取得と完全核廃棄への前進は、同時に進むことが欠かせない。米国はそのように考えて韓国側に告げている」