トランプ氏、北のミサイル基地は「把握済み」 問題視せず

ドナルド・トランプ米大統領、米首都ワシントンのホワイトハウスにて。安倍首相の「友人」ではなくなってしまうのか?(2018年11月9日撮影、資料写真)。(c)NICHOLAS KAMM / AFP〔AFPBB News

 安倍晋三首相の最近の中国への接近に対して、米国のトランプ政権周辺から手厳しい非難の声があがった。中国の国際規則を無視する膨張に対して米国が断固たる抑止の政策をとり始めたのにもかかわらず日本が中国と融和しようとしているのは米国外交への妨害だ、とする非難である。

 その非難には、安倍政権がこのまま米国の事情を無視して中国にすり寄るならば、トランプ政権は日米貿易交渉で日本の自動車への関税制裁などの厳しい措置をとるだろう、という警告も含まれている。さらには「トランプ大統領はもう安倍首相の友人ではなくなる」という威嚇の言葉も発せられた。

安倍政権非難はトランプ政権の意向を反映か

 この安倍政権の対中政策への非難は、10月末に出た米国の保守系の政治外交雑誌『ナショナル・インタレスト』掲載の論文で表明された。論文のタイトルは「日本の中国接近はなぜ失敗なのか」である。

 論文の執筆者は、2003年から2009年まで2代目ブッシュ政権の国務省で北朝鮮人権問題担当の特使などを務め、2017年1月からのトランプ政権では国務省の政権引き継ぎ班の主要メンバーだったクリスチアン・フィトン氏である。同氏はアジア問題にも詳しい保守系の政治や外交の専門家で、2013年には『スマート・パワー』という本を著し話題を呼んだ。現在はワシントンの研究機関「ナショナル・インタレスト・センター」の上級研究員を務める。

 そうした思想的にトランプ政権に近い研究者が、『ナショナル・インタレスト』という、これまたトランプ政権の政治スタンスに近い保守系の有力雑誌で論文を発表した。その意見は同政権の意向を少なからず反映していると見てよいだろう。

安倍首相、中国を7年ぶり公式訪問 習・李両氏と首脳会談へ

中国・北京の人民大会堂で握手する、安倍晋三首相(左)と中国の李克強首相(2018年10月25日撮影)。(c)Roman PILIPEY / POOL / AFP〔AFPBB News