「利上げ」に踏み切れなかった最大の要因は「景気」だ。

膨れ上がった家計負債

 家計負債の問題も頭痛の種だ。韓国の家計負債はここ数年さらに増加し、1500兆ウォン(1円=10ウォン)にまで膨れ上がった。

 かなりの部分は不動産向けと見られる。

 借金がこれだけ多いと、利上げによって、返済に問題が生じる比率の上昇も考慮しなければならない。

 不動産対策で利上げを主張する声がある一方で、利上げによって負債の返済に問題が生じると経済に大きな打撃となりかねない。

 それでも、利上げを求める声に勢いがついていることは間違いない。米国の相次ぐ利上げの影響はやはり大きいのだ。

 10月18日の金融通貨委員会では、利上げを求める委員が2人いた。

 韓国銀行は発表資料で今後の利上げについて「今後の成長率と物価動向を綿密に検討して判断する」と述べた。前回までは「慎重に判断する」との表現だったが「慎重に」が取れた。

 李柱烈(イ・ジュヨル=1952年生)韓国銀行総裁は10月18日の記者会見で「通貨政策を住宅価格の調整手段に使うことは効果が大きくない」と語った。