大阪桐蔭のチーム力の高さ、成熟度合は、こうした弱さを強さに転換できる能力なのではないだろうか。
西谷監督は「地に足をつけてやっている」と、選手たちを信じ抜いた。
決勝戦の直前、指揮官はこうも言っていた。
「毎日、『この1球で勝負が決まる』というこだわりだったり、選手たちにはプレッシャーをかけて練習させてきましたから。高校生のレベルではありますけど、そのなかでしぶとさがついてきたとは思っています。これまで注目されてきましたが、それは避けては通れない道ですし、そこでプレッシャーに負けるようであれば、『そこまでのチームだった』ということですね」
西谷監督はおそらく、このときすでに「そこまでのチーム」だと微塵も思っていなかったはずだ。選手たちは弱さと向き合い、強さを求め続けてきた。だから、「地に足がついている」と選手を評価して試合に送り出し、そして彼らは、監督の期待に応えた。
最高のチーム、本物のチーム、そして最後に最強のチームになろう――。
その合言葉を胸に刻み臨んだ、100回目の夏。大阪桐蔭は、理想郷に到達した。