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8月の初旬、中国では恒例の北戴河会議なるものが開催される。これは中国共産党の現役幹部と共産党OBが行う秘密の会合である。いつ開催され、いつ閉会したか、またどんなことが話し合われたかなどについて、一切の公式発表はない。
北戴河は渤海湾を望む海辺の避暑地。水泳が好きだった毛沢東がよく滞在した。その際に北京から幹部を呼びつけて、非公式な話し合いが行われたことが起源とされる。
中国共産党の多くの公式会議は秋に開催されるが、北戴河会議ではその事前相談が行われる。特に、長幼の序を重要視する中国では、執行部が人事案の内諾をOBから得る場とされる。
今年は北戴河会議を前にして「習近平がOBから吊るし上げに遭う」という噂が広まった。共産党の規約に反して個人崇拝を推し進め、かつ対外強硬路線を押し進めたために、米国と抜き差しならない貿易戦争に陥ってしまった。その責任が追及されるというのである。個人崇拝を推し進めた王滬寧政治局常務委員が会議に姿を見せず、失脚したなどのニュースも流れた。
今回は、この一連の報道について考えてみたい。筆者は、これらの一連の報道は「木を見て森を見ない」ものであり、一部の事象をあまりに針小棒大に取り上げているように思う。