つまり「大雨が増えており、同じ時期に温暖化も起こっている」という相関関係はあるが、その因果関係ははっきりしない。気象庁も「こうした長期的な大雨日数の増加に、地球温暖化が関係している可能性があります」という慎重な表現をしている。

地球温暖化は防げるのか

 さらに分からないのは、地球温暖化の原因は何かということだ。普通はこの問題には次のような因果関係があるとされる。

 人間のCO2排出→大気中のCO2濃度の増加→温室効果による地球温暖化→異常気象

 このうち大気中のCO2濃度が増えたことは間違いない。この100年間に地球上のCO2濃度は300ppmから400ppm以上に増えたので、それが温暖化の1つの原因になったと考えられるが、同じ時期に人間の排出したCO2濃度は40倍になった。

 人間の排出するCO2が地球全体のCO2の増加の1つの原因であることは間違いないが、その因果関係ははっきりしない。逆にいうと、人間がCO2排出量を減らしても、どれぐらい地球温暖化が防げるかは分からないのだ。

 地球温暖化についてのパリ協定では「産業革命以降の気温上昇を2℃に抑える」ことを目標にしているが、それを実現するには2050年に全世界で人間のCO2排出量を80%削減し、2100年にはゼロにしなければならない。それが実現可能だと考える専門家はほとんどいない。