(文:コーチ・エィ 内村創)
「あなたは、どんな人なのですか?」
もっと周囲の人たちの本音を聞けるようになりたい、と話す私に、アメリカにいるコーチがそう問いかけました。
メンバーの力を引き出してチーム力を高めるには、本音で対等に話し合うことが不可欠だと思っていました。一方、その気持ちとは裏腹に「優秀なリーダーだと見られたい」「私と話す時間に価値があると思ってもらいたい」という気負いが心の奥底にあることを、私はコーチとの対話の中で認識し始めていました。
コーチは私に言いました。
「『優秀なリーダー』だとか『話す価値がある人』と評価してもらいたいというあなたの思いは、相手にどう影響するのでしょうか? もしあなたが私にそのような思いで話していたら、私はきっと本音を言うよりも『優秀な人間』を演じようとするでしょう」
私が思い描く「優秀なリーダー」や「話す価値のある人」ではなく、「あなたは、本当はどんな人なのか? それを聞きたい」と、コーチは私にそう問いかけてきたのです。
封印される本来の自分
「個性を磨く」や「強みを生かす」といったことは聞き慣れたことであり、多くの人がその重要性に反対することはないと思います。それにも関わらず、組織では個性を磨き、他者との違いを際立たせるよりも、「違いをなくす」方向に力が働く傾向があるように思えます。
それだけではありません。