(文:コーチ・エィ 鈴木義幸)
人を動かし、組織を動かすには何が大事なのか。
エグゼクティブコーチの仕事をしていると、常にこの問いが頭のどこかに流れています。
先日、ある会社の経営会議に出席しました。経営会議は、終始冷めた雰囲気で、活発な役員同士の意見交換は見られません。そんな雰囲気を察知してか、会議の最後に社長が口を開きました。
「もっと役員同士がお互いに意見をぶつけ合うと良いと思っている」
社長は5分近く、それこそ懸命に、自分が思っていることを口にしました。嘘のない正直な意見に聞こえました。
しかし、笛吹けど踊らず。
それに呼応して言葉を発する役員は誰もいません。社長はとてもバランスの取れた良いリーダーに私には見えました。
なぜ彼の言葉は役員に響かなかったのか。
その光景はしばらく自分の中に残りました。