羽田空港へのアクセスもよく、インバウンド需要が期待される品川エリアは、東京都から「アジアヘッドクォーター特区」の指定を受け、グローバルビジネスの推進拠点として、世界中とビジネス交流、知の交流ができる環境を目指している。海外の業務統括拠点や研究開発拠点を誘致してアジアの拠点としてさらなる発展を目指すとして、今後外資系企業の誘致をさらに積極的に行っていく計画だ。

 例えばホテルでは、大型国際会議を開けるコンベンションホールの機能を盛り込み、日本の弱点とされているMICE(国際会議や展示会)需要にも対応していく。またオフィスは多国籍企業の日本法人や海外展開を積極的に行っている日本企業の入居を想定し、住宅も外国人向けサービスアパートの設置を検討しているという。

品川駅周辺の回遊性を高め、災害に強い街へ

 品川エリアは、東西が鉄道や車両基地、道路で分断されているのが課題となっている。今後はビジネス、観光などの多様な交流を可能にするため、東西をつなぐ交流のゾーンを設置する予定だ。

 例えば品川駅高輪口は、駅と街が国道15号(第一京浜)で分断されていたが、道路の上空に巨大な広場を建設することで街との一体化を目指し、にぎわいを生み出していくという。

国道15号・品川駅西口駅前広場整備の事業協力者のひとつである京急の案(資料:国土交通省)

 またこのエリアの南北に細長い特徴的な形状を踏まえ、新駅・品川駅と街の南北を繋ぐ骨格的なデッキを中心とした歩行者のバリアフリーネットワークを確立。東西南北の回遊性を高め、まとまりやつながりが感じられる街としての魅力を高めて行く。

 本エリアでは、エネルギー・情報インフラの実現に取り組む官民が連携して、建築物およびインフラの整備や災害対策に取り組んでいる。例えば、芝浦水再生センターと連携した下水熱などの再生可能・未使用エネルギーの活用、品川区と連携した災害時の情報提供や一斉帰宅抑制のルール化といった防災計画作りなど。環境性能に優れ、災害に強い街づくりへの絶え間ない努力が続けられている。