エネルギーを地産地消する田町のエコタウン
JR田町駅東口北地区では、「低炭素で災害に強いまちづくり」を目指すエコタウン「田町スマエネパーク」(2020年全体竣工予定)の開発が進められている。
これは港区と東京ガス、三菱地所、三井不動産などによる共同プロジェクトで、すでにエリアの半分の公共街区「くらしの拠点ゾーン」は完成し、病院や保育園、スポーツ施設などが開業している。
大きな強みは、東京ガスの存在だ。公共街区に設置した第一スマートエネルギーセンターにはプラントがあり、エネルギーを地産地消しながら街区全体のエネルギー需給を自動制御でコントロールしている。
隣接する開発中の街区「msb Tamachi(ムスブ田町)」にも、5月にスマートエネルギーセンター第二プラントが竣工し、熱と電気の供給を開始した。公共街区のスマートエネルギーネットワークと連携させ、両街区で導入された再生可能エネルギーや空調熱源などの熱相互融通(※)を行う。田町駅東口北地区全体のエネルギー需給の最適化を実現し、1990年基準と比べて地区全体のCO2排出量約45%の削減を目指している。
同月にオープンしたmsb Tamachi 田町ステーションタワーSは、非常用発電およびスマートエネルギーセンターとの連携により、災害時には共用部だけでなく専有部へも72時間電力供給が可能となる高機能オフィスとなっている。続けて2018年秋に東京初出店となるブルマンホテルズ&リゾーツが開業し、2020年春にmsb Tamachi 田町ステーションタワーNがオープンする予定だという。
※熱の相互融通は2020年開始予定。
防災拠点となる緑豊かな職住一体エリアも
地下鉄三田駅付近、札の辻交差点周辺で進められているのが、2023年竣工予定の三田3・4丁目地区再開発だ。22万㎡超の敷地に、複合棟2棟と住宅棟2棟を建設し、オフィス、文化交流施設、商業・生活支援施設が入居する。
隣接する三田ツインビル西館エリアと併せて約1.6haの緑地・広場を整備することで、緑豊かな環境のビジネス拠点を創出し、有事の際には地域の防災拠点の役割も果たす。
三田エリアと芝浦エリアを連絡する歩行者デッキも整備し、バリアフリー動線も強化される。
品川・田町エリアは新駅開発と大規模複合再開発で、エリア全体が生まれ変わろうとしている。官民一体となったスマートエネルギーネットワークの構築、防災に強い街づくりを目指す取り組みも先進的だ。アクセスの良さに加え、今後大型コンベンションホールが続々と建設されるなど、国際的な窓口としてのポテンシャルも高く評価したいところだ。