異様にサイズが大きいJ-20

 続いて、現在注目が集まっている中国のステルス機について解説します。

 今回、筆者は中国製ステルス機「J-20」と「J-31」の機体を分析するために、1/72サイズのプラモデルを組み立ててみました。プラモデルは、各パーツの大きさのバランスが実物とは変えられているので、厳密な縮尺模型ではありません。しかし、デザインはほぼ正確に再現されており、機体の大まかな形状は十分に把握することができます。なお、組み立てたプラモデルは、広東省の華新発展有限公司(ブランド名:小号手、トランペッター)というメーカーが市販している製品で、値段はそれぞれ約80元(約1400円)でした。

 まず、2017年3月から運用が始まり、既に量産段階にあるJ-20ですが、プラモデルを組み立ててまず感じたのはその異様な大きさです。

左が「J-20」。右が「MiG-29」。いずれも1/72プラモデル(Mig-29はタミヤ製)。J-20の機体の大きさがよく分かる

 上の写真のように他の戦闘機と比較すると大体2~3回りくらい大きく、そのサイズから一部でJ-20は戦闘機ではなく爆撃機ではないかという声も出ています。J-20は米国の攻撃機「F-117」(通称:ナイトホーク)を参考にしているという指摘もあり、空戦よりも地上攻撃能のほうに重きが置かれているのかもしれません。

 機体の構造は、開発にあたって米国製ステルス機「F-22」と「F-35」の技術情報をハッキングしたと言われており、プラモデルを見ても、エアインテーク(空気吸入口)の形状等が確かにF-22に酷似しています。

 ただ、部分的に独自の形状も見られます。特に興味深いのは翼の枚数です。J-20の翼は前翼(カナード)、主翼、X字尾翼で計8枚もあり、これでステルス性能を阻害しないのだろうかと思えるような枚数です。なお、翼がこれほど多くなった理由について、中国側は「エンジンの推力不足のため」と認めており、後期型ではカナードはなくなるとしています。

 ちなみにJ-20のプラモを組み上げた際、黒くてでかくて角ばったそのデザインから、筆者はZガンダムに出てく強化人間専用兵器「サイコガンダム」を思い浮かべました。

中国軍「J-20」のプラモデル