シンガポールにおいて米国のトランプ大統領と北朝鮮の金委員長の歴史的な会談が開催されることになった。それに関連して多くのことが語られているが、ここではちょっと視点を変えて、ベトナムの歴史からこの問題を考えて見たい。
ベトナムと朝鮮半島を比較するのは、どちらも歴史の中で中国の強い影響力の下にあったためだ。日本と同様に、両国は中国から漢字、儒教、そして大乗仏教を輸入した。
海を隔てていた日本と異なり、両国は文化的影響だけでなく軍事的、政治的な脅威も受けた。朝鮮半島が中国の植民地になることはなかったが、ベトナムは漢の時代から約1000年間にわたり中国の植民地になった。
独立を果たしたのは今から約1000年前、宋の時代である。独立した後も、中国は何度もベトナムを侵略し、その度にベトナムは中国軍を追い返した。ベトナムの歴史は中国との戦いの歴史と言ってもよく、中国に勝利した将軍は現在でも英雄として崇め祭られている。それは、ベトナムの都市の大通りに英雄の名前が付けられていることからも分かる。