米朝会談の「日程と場所決定」 近く発表とトランプ氏

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)とドナルド・トランプ米大統領(2018年3月9日作成)。(c)AFP PHOTO/KCNA VIA KNS〔AFPBB News

 北朝鮮をめぐる論議が日増しに大きな輪を広げている。米国でも日本でも政治家、識者、メディアなどがそれぞれの意見を熱っぽく語り続ける。この現象自体はきわめて健全だろう。

 だが日本では、なぜか北朝鮮に有利な根拠不明の奇妙な情報が客観的事実であるかのように堂々と提示されている。その典型的な例が、朝日新聞(5月3日付)朝刊の一面トップに掲載された記事だった。

「朝鮮半島の非核化」と「北朝鮮の非核化」の違い

 この種の北朝鮮側のプロパガンダに資するような「報道」には、くれぐれも注意が必要だろう。特に北朝鮮の核武装は、日本の安全保障に重大な脅威をもたらす問題である。しかもこの記事は、北朝鮮当局が米国や日本にまさにそう信じてほしいという期待とぴったり合致する趣旨だった。

 4月27日の南北朝鮮首脳会談を終え、全世界の関心はまもなく開催されるとみられる米朝首脳会談の行方に集中してきた。核心はいうまでもなく、北朝鮮が年来進めてきた核兵器開発を中断して核兵器を完全に放棄するかどうか、である。

 北朝鮮は南北首脳会談の「板門店宣言」で、「朝鮮半島の非核化」や「核のない朝鮮半島」を表明した。だがその方法や時間についてはなにも述べていない。さらに、これが最重要点の1つだが、金正恩朝鮮労働党委員長が同意したのはあくまで「朝鮮半島の非核化」であって「北朝鮮の非核化」ではない。米国、韓国、日本などが求める北朝鮮の非核化については、金委員長はなんの言及もしていないのである。