南シナ海で米空母が軍事演習、フィリピン寄港前に

南シナ海で米空母「セオドア・ルーズベルト」から戦闘機を発動させる兵士ら。米海軍提供(2018年4月11日入手)。(c)AFP PHOTO /US NAVY/MICHAEL HOGAN/HANDOUT〔AFPBB News

 中国の“科学者”の団体が、「南シナ海での科学的調査研究活動をよりスムーズに行うために、これまで『九段線』によって曖昧に示されていた南シナ海における中国の領域を、実線によってより明確に表示するべきである」という提言を行い始めた。

 おそらく、中国共産党政府や中国人民解放軍などが九段線を実線に書き直した地図などを公表した場合の国際的反発を避けるために「科学的理由」を持ち出したものと考えられる。いずれにしても、中国が南シナ海の8割以上の広大なエリアでの軍事的優勢を手にしつつあることへの自信の表明ということができるだろう。

中国の地図に明示されている九段線
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海軍力を誇示し合う中国と米国

 3月末には、中国海軍が南シナ海に航空母艦を含む43隻もの艦艇を繰り出して、「南シナ海での軍事的優勢は中国側にある」との示威パレードを行った。

 これに対抗して、トランプ政権はセオドア・ルーズベルト空母艦隊を南シナ海に派遣し、中国大艦隊の示威パレードに対抗する措置をとった。

 これまでトランプ政権はFONOP(公海航行自由原則維持のための作戦)を断続的に続けることにより、フィリピンや日本などの同盟国に対して「アメリカは南シナ海情勢から手を退いたわけではない」というアリバイ表明を続けるに留まっていた。だが、FONOPは通常1隻の駆逐艦が中国が自国領と主張している南沙諸島や西沙諸島の島嶼沿岸12海里内海域を通航するだけであるため、軍事的な示威活動とはなっていなかった。