2月11日放送のテレビ番組「ワイドナショー」における国際政治学者、三浦瑠璃氏(以下、敬称略)の「スリーパーセル」発言が物議を醸し出し、ネットでは同発言をめぐり炎上した。
同発言をめぐっては、三浦が「大阪がやばい」と発言したことから、ネットでは在日朝鮮人への差別発言という声や、「スリーパーセル」という言葉自体の存在有無を疑う意見、三浦の発言の根拠として示したディリーメール(The Daily Mail)の記事に対する批判の声などが上がった。
本稿では、この発言を改めて振り返り、同発言の問題点を特定するだけではなく、(本来三浦が意図した)日本の安全保障についても考察する。
なお本稿では、三浦が言う「スリーパーセル」による工作活動の存在有無に関しては断言しない。むしろ、断言できないと言う方が正しいであろう。
そもそも、三浦だけでなく、北朝鮮の極秘作戦を筆者のような一日本人が知ることなどできない。このような極秘作戦は明確な裏が取れるわけがなく、推測的領域を超えることはない。
スリーパーセル発言からの展開
まず、改めて「スリーパーセル」発言の事態の展開を見てみよう。
2月11日の「ワイドナショー」によって同発言が注目を浴びることとなったが、遡ること3日前、2月8日放送の「Abema TV」(インターネットテレビ)の「橋本徹の即リプ」においても、実は、三浦は同趣旨の発言を行っている。
おそらく反響の大きさの違いは、「ワイドナショー」は地上波で人気お笑いコンビ、ダウンタウンの松本人志氏の番組ということもあり、より多くの視聴者が三浦の発言を知るきっかけとなったためであろう。
それでは、具体的に同番組内での三浦の発言を見てみよう。三浦は米国が北朝鮮を攻撃した場合の日本への安全保障上の問題点について触れ、
「もし、米国が北朝鮮に核を使ったら、米国は大丈夫でも我々は反撃されそうじゃないですか。実際に戦争が始まったら、テロリストが仮に金正恩さんが殺されても、スリーパーセルと言われて、もう指導者が死んだっていうのが分かったら、もう一切外部との連絡を断って都市で動き始める、スリーパーセルっていうのが活動すると言われているんですよ」