イタリアで総選挙が行われ、EU懐疑派のポピュリズム政党が躍進を遂げた。単独政党としてトップに立ったのは、南部、島部を中心に票を集めた「五つ星運動」。
「政治家は去れ」と声高に訴え、元コメディアン、ペッペ・グリッロが中心となり結党、ネット上で直接国民の声を聞く新興政党は、単純に右派、左派と色分けすることができない「反体制」である。
一方、連立会派として最大勢力となったのは北部を押さえた右派連合。そして、シルヴィオ・ベルルスコーニ元首相率いるフォルツァ・イタリアを凌駕し、その主力となったのが「同盟(Lega)」だった。
反移民、反EUを強く押し出す
もともと「北部同盟(Lega Nord)」として活動してきた北部郷土主義のポピュリズム政党だ。
今回、マッテオ・サルヴィーニ党首は、選挙スローガン「Prima gli Italiani」つまり「イタリア・ファースト」を掲げ、反移民、反EUのスタンスを強く押し出し、単に「同盟」として戦った。
中道左派の現与党、民主党は、中部の一部などを取るにとどまり、従来型政党の低迷は顕著。
五つ星運動も同盟も、政権を担うことに意欲を示しているものの、単独での首相指名はできない。
何らかの連立により両党党首のどちらかが新政権を率いるのか、挙国一致体制の可能性もささやかれているが、まさかの五つ星運動と同盟の連立ともなれば、EUにとってまさに悪夢・・・。
1994年3月28日
前日の総選挙でのベルルスコーニの勝利を伝えるテレビを見て、不満タラタラの映画監督ナンニ・モレッティ。
「イタリアでは首相がテレビ局を3つ持っている。フランスでは到底考えられないことだ」と語るフランス人ジャーナリストからは「イタリアをテーマに撮るべきだ。ユーモアを交え市民感覚で」と進言される。