解放軍の弱さと焦り

【図解】見えない軍用機、ステルス機

ステルス戦闘機とは?〔AFPBB News〕

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 会話はさらに続く。

友人 今、北京では「つい最近、習近平国家副主席が成都の空軍基地を訪問し、殲20の開発状況を視察した」という噂がまことしやかに語られているそうだ。

筆者 さすがは中国、いかにもありそうな話だね。それにしても、分かりやすい人たちだなぁ。今回の試験飛行を含め、最近の人民解放軍の「自己主張」をどう思う?

友人 空軍戦力の近代化をアピールするためだと言われるが、自分はそうは思わない。むしろ、人民解放軍の「弱さ」の表れではないかとすら思う。

筆者 確かに。本当に強い軍隊であれば、あんな子供じみた真似はしないはずだ。解放軍は弱いからこそ、米軍との軍事交流を頑なに拒否しているのだろう。最近の人民解放軍には焦りすら感じられる。

 中国の労働人口は2015年にもピークアウトするので、それまでに何らかの結果を出し急いでいるかのようだ。ところで、ゲーツ長官は冷戦時代の米ソ戦略核交渉のようなものを中国とも行う気があるのだろうか?

友人 削減交渉を行うことはないが、核兵器などに関する情報交換はやりたいだろう。そもそも、米国は中国内部の核兵器に関する指揮命令系統、緊急時の連絡体制など、詳しいことは何一つ知らされていない。これは非常に危険なことだ・・・。

 友人同士の戯言はまだまだ続くが、ここで話題を変えたい。報道では中国の「次世代ステルス戦闘機開発」や「文民統制の欠如」などに注目が集まっているが、今回の試験飛行実施は、より本質的な意味で、極めて深刻だと思うからである。

国防省高官の政策スピーチ

 1月6日、ワシントンで米中軍事交流に関する国防省高官の講演会が開かれた。スピーカーはシファー国防次官補代理、ファインスタイン上院議員の外交スタッフも務めた東アジアの専門家だ。

 このスピーチ、日本ではほとんど報じられていないが、ワシントンのアジア関係者の間では注目されている。将来の米中軍事関係を占う上で極めて重要な論点が含まれているからだ。

 ちょっと長くなるが、まずはその概要をご紹介したい。