「急で申し訳ないが、今晩飯でも食わないか?」。1月12日午後、突然米国の旧友からこんなメールが届いた。実名は書けないが、彼は米有力紙の外交記者、ロバート・ゲーツ国防長官の「中日韓」歴訪の同行取材で東京に着いたばかりだという。(文中敬称略)

 久しぶりの再会で話が弾んだ。「中国では毎回サプライズがあるが、今回も例外ではなかったよ!」

 どうやら、11日のゲーツ・胡錦濤会談の直前に第5世代ステルス戦闘機「殲20」試作機が初の試験飛行を行ったことを指しているようだ。

胡錦濤は知らなかった

中国ステルス戦闘機が初試験飛行、胡主席は知らされず

北京を訪問し胡錦濤総書記と会談するロバート・ゲーツ米国防長官〔AFPBB News

 この友人との会話を再現しよう。

友人 国防総省高官は、「ゲーツ長官が試験飛行について質問した際、胡錦濤総書記もほかの文民高官もその事実を知らなかったことは明らかだ」と言っていた。

筆者 その話は報道で読んだが、本当なのか?

友人 ああ、当初は返答がなかったが、会談の後半で胡錦濤は「試験飛行は事前に計画されていたが、ゲーツ長官訪中とは全く無関係だ」と述べたようだ。

筆者 その話も報じられているが、「無関係」のはずはないだろう。今回の試験飛行は米国政府だけでなく、胡錦濤個人に対する解放軍のメッセージではないか。

友人 同感だ。人民解放軍は米国との軍事交流を心底嫌がっている。近く訪米する胡錦濤が解放軍に対し軍事交流再開を働きかけたことへのしっぺ返しだろう。