中国の対外戦略や軍事力増強に対する米国の反発や警戒はこれほどまでに激しくなったのか。トランプ政権の対中姿勢の硬化が、その原因になっているわけではなく、政権の対中姿勢の変化はその結果にすぎないのではないか──。
ワシントンの米国議会での大規模な公聴会を終日傍聴して、こんな実感を抱いた。
トランプ政権は安全保障面で中国との対決を明確に打ち出すようになった。だが、なぜここにきて対中姿勢を硬化するのか。その原因は何か。
米国には多様な対中観があるがトランプ政権のそれは特に強硬である、という見方は少なくない。ところが実際には、米国一般の対中観がこのところきわめて厳しくなってきたのだ。トランプ政権は、むしろその潮流に動かされたともいえそうである。
トランプ政権は中国の軍事動向に特に険しい視線を向ける。だがその態度も、米側の専門家たちの間で中国の軍拡への懸念や警戒がにわかに広まっていることが背景にある。私にとってこんな実態をまざまざと感じさせる公聴会だった。