中国のマニアの間では、当時の日本で人気だった朝河蘭、吉沢明歩、紋舞らん、小澤マリア、波多野結衣などさまざまなAV女優名がそれなりに知られていた。もともと蒼井そらは彼女らのなかのワンオブゼムという位置づけで、特に中国人の好みに合っていたわけではなかったのである。

ブレイクの理由は誤訳・地震募金・芸名?

 蒼井そらが中華圏で本格的にブレイクしたきっかけはSNSだった。2010年4月11日、彼女が自身の公式ツイッターのアカウントをフォローする中国人ファンが多数いることに驚いて、下の画像のようにツイートしたところ、中国人から喜びの返信が殺到。フォロワーが万単位で増えたのである。

中国人フォロワーの急増を喜ぶ蒼井そらのツイート

(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52014

 当時はまだツイッターの黎明期。フォロワーが1万人いれば相当なアルファツイッタラーとして認められていた時期だけに、この現象は日本国内でも驚きを持って受け止められた。

 もっともこの時点では、蒼井そら以外にも紅音ほたるなど複数のAV女優のアカウントに中国人の注目が集まっていた。だが、蒼井がグーグル翻訳を使って「中国のファンたちありがとう」と中国語でツイートしたところ、たまたま翻訳ミスで「ファン」がサッカーファンを意味する「球迷」と訳された。「球」が女性のバストを婉曲にイメージさせる単語だったことがネット民のセンスに合い、これが中国側のネット上でバズったのであった。

中国側で大ウケするきっかけになった、運命の誤翻訳。その後の蒼井そらは中国市場での人気を受けて、中国語の勉強をはじめることになる