日本でもシェアリングエコノミーを活用する動きはある。企業物流向けでは、ハコベルがWebを通じて運送事業者のマッチングサービスを提供している。運送会社の非稼働時間を利用して運ぶために一般のチャーター便より割安になる。また、消費者向けでは、アマゾンが「Prime Now」でココカラファイン、マツモトキヨシ、三越日本橋本店と連携して共同配送を実施している。

【3】世界に先駆けたクラウド型宅配モデルを創れるか

(1)日本に適したクラウド型宅配の姿

 日本でも近距離輸送においてクラウドデリバリーの利用は始まりつつある。だが、各社が仲介サービスを設立し、それぞれに配送業者が登録する形では、結局のところは労働力や利用者が分散してしまう。限りあるリソースを最適に配分するためには、同じ仕組みの中で無駄のないマッチングが必要となる。

 まず、リソース集約のためには、参加する配送員の数や利用者(荷物を受け取る消費者)数が一定規模以上でなければならない。次に、システム、オペレーションを共通化し、あらゆる企業(物流、小売、受取場所となる店舗等)や個人が、荷主として参加できることが必要である。そして、宅配事業者、運送事業者、一般人などが、配送者として参加できることが望ましい。

 それでは、近距離輸送において、クラウドデリバリーを活用した宅配プラットフォームはどのような姿になるだろうか。宅配プラットフォーム、配送ドライバー、配達先の関係を下の概念図に示した(図1)。

図1 クラウドデリバリーを利用した宅配プラットフォーム仮説
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 一定規模以上の事業者を束ねるためには、プラットフォームの運営者の役割が決定的に重要となる。運営者はドライバーの位置や稼働状況を管理し、依頼のあった地点から最も近く、空きのあるドライバーを向かわせる。ドライバーが荷物を受け取った後は、配送先までのルートを自動で設定し、ドライバーのスマートフォンなどの端末に配信する。ドライバーはそれに従い、配送先まで荷物を輸送する。また、プラットフォームの運営者は、料金の支払いの際に手数料を徴収しそれを収益源とする。そうしたプラットフォームの構築には、図2のようなさまざまな機能が求められる。

図2 プラットフォームに要求されるソリューション仮説
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