会見する成毛・東芝メモリ社長と杉本・ベインキャピタル日本代表(2017年10月13日、写真:AP/アフロ)

1つのヤマを越えた

 東芝の取締役会は9月20日、米ファンドのベインキャピタルを中心とする「日米韓連合」(図1)に東芝メモリを売却することを決議し、9月28日にベインの連合と正式に東芝メモリの株式譲渡契約を締結した。そして、東芝は10月24日に臨時株主総会を開催し、東芝メモリの売却について、株主から承認を得た。

図1 東芝メモリを買収する「日米韓連合」
(注:出資金額などは一部筆者の推定値)

 これで、昨年末に米原子力事業で巨額損失が発覚して以降、メモリ事業の売却を巡って、揉めに揉めていた東芝の騒動が、1つの山を越えたと言えよう。

 しかし、2018年3月末までに、東芝メモリの売却が完了しなければ、債務超過を回避することができない。そうなると、東芝は2年連続で債務超過となり、東京証券取引所(東証)から退場を命じられることになる。

 東芝が上場を維持するためには、米ウエスタンデジタル(WD)との訴訟問題、および、各国司法省における独占禁止法の審査の問題をクリアする必要がある。

 しかし、独禁法の審査が間に合わないかもしれない。すると、ルールに則れば、東芝は上場廃止になることになる。本稿では、まずWDとの訴訟問題の解決策を論じ、そのうえで、上場廃止となった際のダメージを最小限にする方法を提案したい。