他にやりようがないから致し方ないのだが、それでもなお感染源となった食材を特定しておかないと、同じ食材がやがて次の悲劇を生むことになりかねない。保健所も厚生労働省も、そこに全力を投入してもらいたいところである。

保健所とメディアの罪

 繰り返しになるが、今回、保健所は根本的な混入経路の特定は後回しにして、拡大要因とされた店舗の衛生管理体制を「犯人」に仕立て上げた。その結果、惣菜店を一斉閉店に追い込んだだけでなく、全国でポテトサラダの販売を激減させ、さらにはサラダバーなどバイキング形式で提供する中食や外食を震え上がらせた。

 この間、新聞やテレビ、週刊誌は惣菜店の衛生管理のずさんさにばかり光を当てて、それが「原因」であるかのように騒ぎ立ててきた。

 だが、前述のように惣菜店が菌の混入した加工品を納入された可能性は否定できない。ちなみに、厚労省によるとトングを媒介にしたO157などの汚染拡大の例は過去にないという。

 科学的根拠のない憶測を公表した保健所、その情報に飛びつきなんの検証もなく垂れ流し、感染源の特定を訴えようとしないメディア。この構図も、まさにこの国の病巣の1つといえるのではないか。