プロローグ/激動の2017年・運命の2018年
ロシアにとり今年2017年は「帝政ロシアによるアラスカの対米売却」から150年目、K.マルクスが『資本論』(Das Kapital)を発刊してから同じく150年目、「2月革命」と「10月革命」から100年目、「キューバ危機」から55年目の節目の年になる。
9月24日はドイツ連邦議会(下院)の総選挙日だった。結果は与党CDU(キリスト教民主同盟)が第1党を維持して勝利した。
しかし、得票率は前回の41.5%から33.0%と大きく後退、連立を組むCSU(キリスト教社会同盟)も20.5%にとどまった。
メルケル現首相の再選が確実となったが、2大政党による連立は解消される見通し。
今回の総選挙最大の焦点は与党が勝利するのかしないのかではなく、極右『ドイツのための選択肢』(AfD:Alternative für Deutschland)の動向だった。
ドイツでは5%の得票率を超えないと議席を獲得できない。AfDが5%を超えて議席を獲得できるかが焦点だったが、蓋を開けてみると12.6%もの得票率を得て第3党に躍進した。この結果は、他の欧州極右政党にも影響与えること必至と言えよう。
来年2018年はK.マルクス生誕200周年、彼が「共産党宣言」(Das Manifest)を発表してから170周年、日本の「シベリア出兵」100周年になる。マルクス没年の1883年には、経済学における2人の巨人、J.M.ケインズとJ.シュンペーターがこの世に生を受けた。
付言すれば、『資本論』初版第1巻と『共産党宣言』の草稿は2013年6月、ユネスコの世界記憶遺産に登録された。
来年3月18日にはロシアの次期大統領選挙が予定されている。この日は「クリミア併合の日」(2014年)であり、国威を発揚すべく、この日が大統領選挙日に設定されたと言われている。V.プーチン大統領の立候補はほぼ確実にて、筆者はロシアの次期首相候補に注目している。
北朝鮮問題
今年9月の最大の話題は、何と言っても北朝鮮問題だろう。
米D.トランプ大統領は最近盛んに軍事オプションに言及するようになった。トランプ政権は韓国に被害が及ばない軍事選択肢があると言っているが、筆者はそのような選択肢はあり得ないと考える。
先制攻撃で北朝鮮のすべての兵器を破壊することは物理的に不可能であり、必ずや反撃され、韓国と日本は大きな被害を受けること必至と言えよう。難民問題も発生する。北朝鮮に対する軍事オプションは人類にとり最悪の選択肢と言わざるを得ない。
ただし、筆者は北朝鮮問題は全くの素人なので、アジア情勢に精通している専門家の解説をここにご披露したい。