空軍パイロット候補生に女性受け入れ、第1期生は15人 ロシア

シリアのラタキア県近郊のフメイミム基地で、スホイ25攻撃機に乗り込むロシア軍のパイロット(2016年3月16日撮影)。(c)AFP/RUSSIAN DEFENCE MINISTRY/VADIM GRISHANKIN 〔AFPBB News

戦うソ連女性たち

 ソ連と言えば、第2次世界大戦で大量の女性兵士を動員したことで知られる。

 ソ連から見た独ソ戦はいきなり「本土決戦」として始まったため、なりふり構っていられなかったというのが実情であろう。その数は実に80万人にも及んだ。

 しかも、ここには少なからぬ数の女性パイロット達が含まれていた。女性撃墜王として有名なリディア・リトヴァクや、女性だけで編成された第46親衛夜間爆撃航空連隊(ドイツ軍からは「魔女飛行隊」と呼ばれた)の活躍はよく知られている。

 女性だけで編成された航空連隊は最終的に9個連隊にも及び、ドイツ軍に対する夜間爆撃などで大いに活躍した。

 第2次世界大戦当時、これだけの女性パイロットを組織的に戦闘に投入した国はソ連だけである。

一変した状況

 ところが第2次世界大戦が終わると、ソ連軍からは女性が急速に姿を消していった。

 将校や軍属としては依然多くの女性がソ連軍に勤務していたが、パイロットを含む戦闘配置からは女性がほぼ一掃されたのである。これはソ連崩壊後のロシア軍でも基本的に同様だ。

 一方、諸外国の軍隊では女性を戦闘配置に就けるケースはむしろ増加しつつある。

 米軍では2010年以降、原子力潜水艦に女性が乗務することも認められているし、女性のイージス艦艦長も誕生。2008年には米軍で初めての女性大将も登場した。第2次世界大戦当時と比べると、米露で状況がそっくり逆転したかのようだ。

 しかもロシア軍では一時期、女性軍人の絶対数も相当減少していたようだ。「ようだ」という言い回しを用いざるを得ないのは、ロシア国防省当局者の発言であっても女性軍人の数に関して不整合や飛躍が多いためである。