プーチン大統領、北朝鮮問題で地球規模の「大惨事も」と警告

中国南東部アモイで、新興5か国「BRICS」首脳会議(サミット)に並行して行われた国際会議に出席するロシアのウラジーミル・プーチン大統領(2017年9月5日撮影)。(c)AFP/WU HONG〔AFPBB News

 今年もまた9月のこの時期に、モスクワを訪問される報道・学会関係者の方々への同道が叶い、ロシアの政治・外交をテーマに彼の地で諸専門家と面談を持つ機会を得た。

 何かと国際情勢の動きが激しい昨今のこと、年ごとに主要な話題は移り行く。今年も昨年と比較してその例外ではなかった。

 1年前の今頃は、その年の12月にヴラジーミル・プーチン大統領の訪日を控えて、日露関係が諸面談で最大のテーマであった。

 これに、面談先のほぼすべてがヒラリー・クリントン氏の当選確実を毫もだに疑わず、彼女の下で予想される悲観慨嘆すべき米露関係、露中関係の今後や中東情勢、いつシリア政府軍がIS(イスラム国)からアレッポを奪取するのか、などが話題に加わっていた。

1年前とは様変わりの日露関係

 それから四季を経た今、日露関係はと言えば、どうにもすっきりしない雰囲気に包まれ、話も低調で何となく意気上がらない。

 そして、多分波乱なく権力の座を一層確かなものにするであろう中国の習近平国家主席の今後のロシアとの関係も、誰が次期米国大統領になるのかで皆の予想がものの見事に外れても悲観論そのものは結局変わらなかった対米関係も、それに不気味極まりないこれからを抱えるのに報道ではあまり以前に比べて一面を飾ることがないシリアや中東情勢も、みな北朝鮮問題に主役の座を譲った格好だった。

 その北朝鮮問題で今回聞いたロシアの専門家の見解は、概ねすでに日本でも報じられている線に沿ったものだった。

 米国からの攻撃がないとの確かな保証を得られない限り、北朝鮮は核保有を断念しない、ロシアはこの問題での主要プレーヤーではない、しかし中国の影響力も限られている、唯一の解決の手段は米朝交渉だが、米国の姿勢からそれは望み薄、しかしさすがに直接軍事衝突には至るまい、等々。

 モスクワ・カーネギーセンター所長のドミートリ―・トレーニン氏は、北朝鮮問題へのロシアの関心事は、隣国での迷惑極まりない騒乱発生の回避、米国の北東アジアへのMD配置回避、中国との戦略パートナー関係維持にあり、それを達成する手段として、自らが朝鮮半島での大量破壊兵器不拡散への保証人として割って入り、方々北朝鮮への米国他の西側の圧力を下げさせ、そして最終的には米朝会談成立に持ち込むことを考えている、とロシアの立場をまとめ上げる。

 だが、トレーニンがどう説明しようと、日本にとって不安になるのは、彼を含めた面談相手の大多数が、ロシアは朝鮮半島の非核化を主張し続け、北朝鮮を核保国と認めることはない(インド、パキスタン、イスラエルもロシアは核保有国とは認めてはいない)としつつ、もはや核の存在は既成事実であり、今からそれを廃棄させることは不可能で、その存在を前提としたうえで緊張緩和を求めるしかない、とみている点だ。