ロシアについてのニュースをインターネットで検索すると、ヒットする報道が毎日多々あるように見えても、最近ではその8割方が米国のドナルド・トランプ政権絡みのようだ。ロシアそのものの動きを伝える報道の量が何となく減ってしまったような気分になる。
直近の大きなニュースもこの例に漏れず、七夕の日にドイツのハンブルグで行われたトランプ大統領とロシアのヴラジーミル・プーチン大統領との会談、ということになってしまう。
G20の本会議を両首脳共にエスケープして行われたこの会談は、予定の30分を大きく上回る2時間16分にわたり、次の予定を気にしたトランプ夫人がその旨を伝えても止まらなかったらしい。
話は、ロシアの米大統領選介入疑惑に始まり、シリア問題、ウクライナ問題、それに北朝鮮問題といった両国間の諸懸案事項を網羅したようだ。
どこまで話が本当に進んだのか、あるいは進まなかったのかは、これから徐々にでも漏れて来ることを期待するしかないが、会談後の米レックス・テイラーソン国務長官、露セルゲイ・ラヴロフ外相の発表内容からある程度は判断できる。
プーチン大統領、米選挙への関与を強く否定
会談冒頭にトランプ大統領が投げかけた選挙介入問題ではトランプ大統領がプーチン大統領を非難し(参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50450)、プーチン大統領は関与を断固否定。シリア問題ではある程度の合意を達成、ウクライナ問題は米露間での議論を活発化させることで合意、北朝鮮問題では結論は出ずじまいだった。
次回会談の予定が合意されなかったのは、諸問題の難易度が高く、今回の合意での結果を実務レベルに降ろしたらどうなるのかを見極めねば、大将同士の再会談の時期設定が難しいからだろう。
諸問題の解決に向けた今回の話で何某かの方向性らしきが合意されたとしても、その実現への行程表には双方ともにまだ自信が持てていないようだ。
会談前には、米側のロシアゲート問題でトランプ大統領が対露外交の手を縛られていることから、大した成果は期待できまいとの評がほとんどだった。また、会談後のメディアも、最初から失敗との稿を組んでいるのではと思わせる米有力紙の記事はもちろん、日本の大手紙も根本問題の解決には程遠いとして、概して冷たい扱いが多かった。
だが、反露一色に近い米議会とメディアがタッグを組んだ昨今のトランプ大統領が置かれた状況からみれば、予想以上に突っ込んだ話ができた会談だったのではないか。少なくともプーチン大統領にとっては、相手を自分の目で確かめたという点だけでも収穫はあっただろう。
シリア問題では、米露が乗り出す形での一部(南西部での政府軍と反政府軍との戦闘)停戦が合意された。
ISがラッカから追い払われた後のシリアで、どのような勢力図を定着させるのか、そして破壊された国土再建への資金は誰が提供するのかは、米国がトルコ(およびクルド)・サウジ・イスラエル、ロシアがシリア・イランをそれぞれうまく抑え切らねばまとめようがない。