盒馬生鮮の店内の巨大な生け簀(筆者撮影、以下同)

 上海に「すごい食品スーパー」があると聞き、訪れてみた。

 eコマース最大手のアリババグループが手掛ける「盒馬生鮮(フーマーションシエン)」というスーパーだ。「オンラインとオフラインの融合店舗」という触れ込みでここ1~2年の間に次々と店舗を増やし、現在、北京と上海で13店舗(2017年8月現在)を構える。

 筆者が訪れたのは、上海市長寧路にできたKing88広場店だ。周辺は、ごく普通の住宅街である。外資企業が入居するような高級オフィス街が近所にあるわけではなく、「スーパーエリート」たちが居住するエリアでもない。盒馬生鮮がターゲットにしているのは中間所得層のようだ。

盒馬生鮮の店舗が入居している建物

 上海の小売関係者の間でも、「ホワイトカラー以外の顧客層の掘り起こしを狙っているのだろう」との見方が一般的だ。中国において、ネット通販は激しい顧客争奪戦に突入している。2017年4~6月期決算ではネット通販の会員数は7%の増加にとどまった。アリババがリアル店舗に参入したのは「ネット店舗ではこれ以上の売上げの伸びが期待できないためだ」ともささやかれている。