2010年5月のことである。米イリノイ州シカゴ市北部にあるフレモントという公立図書館で、図書館員たちは1つの選択に迫られていた。
図書館のSNSとしてフェイスブックとツイッターのどちらを採用すべきか、ということだった。
図書館にとって、どちらのSNSがより有用かの答えは当時、まだ出ていなかった。図書館は結局、両アカウントを開設することにした。
ただ利用しているうちにフェイスブックとツイッターの特性の違いがはっきりし始めた。フェイスブックはより柔軟性があり、写真や動画、ゲームを載せやすいだけでなく、開催されたイベントの事後報告などにも向いていた。
一方のツイッターの主な役割は当時、文章によるお知らせや報告が中心だった。限定された文字数でつぶやく「マイクロブログ」というスタイルが確立され始めた頃である。フィスブックの利用者よりも、不特定多数の人たちと会話をするのにも役立った。
ツイッター株崩壊
ただ時間が経つにつれ、2つのSNSに差が出始めた。それは利用価値とは違う次元でのことで、企業体としての差が顕著になってきたのだ。
今年7月から8月にかけて、米メディアには「フェイスブックがツイッターにナイフを突きつけた」「ツイッター株崩壊:利用者はどこに行くのか」といった過激とも思えるタイトルが踊った。いったいどういうことなのか――。
まず注目したいのが両社の稼ぐ金額である。すでに圧倒的な差がついている。2016年のフェイスブックの売上高は276億ドル(約3兆円)。前年比で54%増である。営業利益も純利益(約1兆1100億円)も2倍以上の伸びである。
一方のツイッターは売上高が25億ドル(約2725億円)で、フェイスブックより一桁下である。純利益は4億5600万ドル(497億円)の赤字となっている。
企業力の礎とも言える株価にも大きな差が出ている。フェイスブックは2004年2月の創業で、IPOが2012年5月。38ドルでスタートした株価はいま168ドルまで上昇している。200ドルまで行くとの見方が強い。
後発組のツイッターは2006年3月に起業。2013年11月のIPO直後、株価は一時70ドル直前までいったが、以後は下落が続きで、過去1年以上10ドル代を低迷している。フェイスブックについていくどころか、白旗を揚げた感すらある。