どこまで行くのか――。
素朴な疑問だが、ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)を取り巻くロシア疑惑の着地点が見えない。はるか先であることは間違いない。最悪のシナリオは大統領の逮捕である。
現時点では「まさか」であるが、トランプがロシア政府と共謀して大統領選に不正介入したとなれば、刑事事件としての立件もあり得る。
トランプは本当にそこまでの悪事を働いていたのか。今回はこの問題について分かりやすく記していきたい。
ジュニアがロシア人弁護士と接触
トランプの長男トランプ・ジュニア氏が昨年6月、ロシア人の女性弁護士とニューヨークのトランプタワーで面会した問題が浮上した。今月8日、ニューヨーク・タイムズ紙がスクープしたものだ。
ジュニア氏は、弁護士がヒラリー・クリントン氏に不利になる情報を手にしていると聞き、大統領上級顧問ジャレッド・クシュナー氏と当時の選対本部長ポール・マナフォート氏と会ったのだ。
しかし情報に接すると、役に立つものではなかった。面会の事実をニューヨーク・タイムズ紙に報じられたため、ジュニア氏は11日、メールのやり取りを公開した。
連邦選挙運動法は、選挙献金の上限や外国人・政府からの献金を禁止しているだけでなく、関与・介入も許可していない。民主国家であれば、自国の選挙に外国人・政府から介入されることは不快極まりないはずだ。
トランプはもちろん長男をかばう。「息子は潔白である。政治史上、(メディアによる)最大の魔女狩りだ」と強気の弁護をしたが、的が外れている。