下院議員2人が12日、トランプの弾劾決議案(HR438)を提出したばかりだ。たった4ページの決議案で、現段階で過半数の下院議員から支持を得られる可能性は少ない。
内容はトランプがジェームズ・コミー前FBI長官を解任したのは司法妨害にあたるというものだ。この点だけを弾劾裁判の争点にしても、反トランプ勢力にとっての好結果は期待できないだろう。
今後1年ほどでトランプの違法行為が表面化し、支持率がさらに低下してくれば、さらなる弾劾決議案が提出されてこよう。民主党議員が真剣に弾劾裁判を開廷するつもりならば、長期的に構える必要がある。
2つ目は、昨年の大統領選でロシア政府とトランプ陣営が本当に共謀していたのかという点だ。
ジュニアの一件は氷山の一角
ジュニア氏の一件は氷山の一角かもしれず、陣営スタッフがロシア政府と一緒に選挙結果をゆがめる行為をしていたとの疑惑は依然として残る。
疑惑を捜査しているのがロバート・ムラー元FBI長官だ。同氏のもとには今、15人の弁護士が主要スタッフとして働いていて、司法省に最終的報告書を提出する義務がある。報告書には期限がないため、1年以上の歳月がかかる場合もある。
ただムラー氏が求めているのは、刑事事件として立件できるだけの「決定的な証拠」である。英語で「スモーキング・ガン(Smoking Gun)」と言われる証拠が出てくるかが焦点となる。
ムラー氏が特別検察官に任命されてからまだ2カ月ほどだが、司法省とFBIの弁護士たちは昨年から同問題を捜査しており、違法性のある決定的証拠を探り出そうとしている。
首都ワシントンにいる知人の弁護士は今後の成り行きを次のようにみている。