ジュニア氏の行動を例えるならば、多額の現金があると思って強盗に入ったが、金庫をあけたら書類しかなかった。だから何も盗らずに退散したので、自分は潔白だと言っているのと同じである。

 親子そろって、不正行為を正当化しようとしているかに見える。トランプ側の弁明はあまりにも稚拙で自己中心的だ。

 連邦選挙運動法は違反しても刑事罰に問われることは少ないが、例外もある。未遂であっても、今後刑事裁判に持ち込まれる可能性もある。

 嘆かわしいのは、トランプ政権とトランプ家の信頼が今まで以上に低下したことである。

もはや否定できないロシアの介入

 ニューヨーク・タイムズ紙は「不誠実の文化が政権内に根を下ろしているとしたら、米市民は今後どうやって政府のことを信じたらいいのか」と書いている。

 ロシア政府が大統領選に介入していたことはすでに示されている(「四面楚歌のトランプ、弾劾は時間の問題か」)。

 だがドイツで行われたG20で、米露首脳会談に臨んだウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアの介入を否定し続けた。プーチン氏としては否定せざるを得ないが、介入はもう否定しようがないところまできている。

 ワシントン・ポスト紙はジュニア氏の面会問題発覚後、「ロシア介入の話はもう疑う余地がない。すでに煙ではなく、火が見えている。ジュニア氏によるロシア側との接触は普通ではない」と断定的に記した。

 ここで述べておかなくてはいけないことが何点かある。1つは、弾劾裁判と刑事訴追とは別モノということだ。弾劾裁判はあくまで連邦議会の議員たちによる大統領を罷免するための法的活動である。