これでは、「韓国独自」の歴史遺産を築けず、韓国特有の名所旧跡に巡り合える機会は少なく、外国人の観光客だけでなく、韓国人自身にとっても自分発見のコンテンツが乏しく、韓国旅行の魅力は薄れるのは当然だろう。

 また、韓国の観光コンテンツ不足のもう1つが、「食」だ。

 特に、韓国人が海外旅行で求める最大のコンテンツがこの食。近所や街中で、韓国では、「シクサハショッソヨ(食事はされましたか)」とよく聞かれるほど、食へのこだわりが強い。

韓国どこでも金太郎飴、魅力乏しい地方

 韓国の地方には、日本のように特産と呼ばれる地方独自の食文化がない。もともと”地方特産”の食べ物や料理は、すぐさま韓国の人口のほぼ半分が集中する首都圏で吸い上げられ、そこで認知を受けたものだけ、再び、全国に渡る。

 言い換えれば、「地方特産」の食べ物や料理は、韓国の国内どこでも味わえ、「食の特産」がないのも観光で、致命的なコンテンツ不足だ。そのためか、韓国人が日本を訪問する場合、「日本食」へのこだわりが非常に強いのが特徴だ。

 韓国の悪化する観光産業の深刻さは、内需低迷、ひいては苦戦する韓国経済の原因にもなっている。

 今年5月、韓国銀行が発表した国際収支によると、サービス収支の赤字が32億7000万ドル(約3600億円、今年3月)で、単月では過去最大赤字となった1月(33億6000万ドル=約3700億円)に次ぐ深刻な状況に陥った。

 しかも、前年同月比の3倍以上で、1~3月期の赤字としては88億6000万ドル(約9750億円)と過去最悪を記録。

 その赤字収支の内訳の中でも、旅行収支の赤字が13億5000万ドル(約1500億円)にも膨れ上がり、韓国の観光業が中東呼吸器症候群(MERS)で壊滅的な打撃を受けた2015年7月以来、約2年ぶりの巨額の赤字を記録。原因は、訪韓外国人の減少とともに、自国・韓国人の海外旅行客の大幅増加が影響している。

 今年上半期に訪韓した外国人旅行客は、約676万人で、前年同期比で約17%も減少する中、2015年に出国した韓国人は約1932万人にも上り、同年に韓国に入国した外国人約1323万人の約1.5倍に上った。

 さらに、2006年から2015年までの10年間では、海外に出国した韓国人は毎年、「訪韓外国人を上回り」、平均で約1.5倍にもなっている。

 韓国人は「自国嫌い」で「外国好き」なのだ。