東京の御茶ノ水に、認知症の早期発見と早期治療のための専門クリニック「メモリークリニック」があります。
このクリニックでは認知症の前段階と言われる軽度認知障害(MCI)に対する取り組みの1つとして、「プログラムアート」という手法で脳活性化を行っています。
「プログラムアート」を主催するのは、プログラムアートARTMaN(東京都文京区)です。
筆者は20人ほどの方々が参加する「プログラムアート」を体験し、代表の鍋島次雄さん、井上貴美枝さんにお話を伺いました。この取り組みの魅力と、認知症を予防・改善する可能性について紹介します。
「表現」がなぜ認知症の予防・改善につながるのか?
「プログラムアート」は今まで、認知症の前段階である軽度認知障害の方から、進行した認知症の方に対して行われてきました。
今、認知症を患っている方は、戦後復興の後に急激に成長する日本社会の中で、ある意味抑圧されて生きてきました。そして皆が、皆と同じように生きてきました。
しかしアートに取り組んだ瞬間、「自由」を手にします。
今まで抑圧されていた人が、いきなり自由を手に入れるのです。とても張り切って表現に取り組みます。同じテーマでも、30人いれば皆が違う絵を描きます。
このようにアートでは、「感情を形に表す」「新しい自分を発見する」ことによって、大きな達成感が得られます。アートのこの作用に、認知症を予防・改善する可能性が秘められています。