日本では“飲食店の二極化”で激安傾向がさらに進む中、「日本より高くなってしまった」(日本人リタイア高齢者、日系企業駐在員)というのが実情だ。

 さらに、タイでは消費税(7%)に加えてサービス料(10%)が課せられる店も多く、物価の高騰を肌で感じざるを得ない。

 まして、リタイアプアにはラーメンや日本食は高嶺の花。激安の屋台街に繰り出しても、屋台も麺類などが20~30バーツ(約70円から約100円)だったのが、今では50バーツ(約170円)に値上げされている。

 もし計画通り年末までにバンコクの主要道路で露天が撤去されれば、日本人の貧困高齢者の生活は一層困窮することになる。

日本より高くなった家賃

 食だけでなく家賃もまたしかり。先進国と比較すれば格安とはいえ、年々上昇傾向にある。

 日本人居住区でマンションを借りると、3万~4万バーツ(約10万円から約13万円)が相場。東京の都心でもこの家賃だと、見つかる物件は多く、日本の地方や一部地域より高くなっているともいえる。

 タイに移住する高齢者の中にも、企業年金と国民年金の両方を受給し、物価が高騰した今でも、比較的余裕を持ちながら暮らす日本人はいる。

 しかし、日系スーパーで買い物をすれば、「日本では、1袋400円のみかんが800円(10個入)、1個90円のりんごが200円、1匹100円の秋刀魚やいわしが500円、豆腐や納豆も1パックが300円ほどで、1回の買い物に毎回最低1万円はかかる。物価安で日本より優雅に、とタイに来たが、日本より苦しい台所事情に直面している」(70代の大手商社リタイア夫婦)という。

 まして、タイに移住するリタイア高齢者の約半数は、老後破綻した年金生活者とみられている。年金が少なく日本での生活苦から抜け出すため、日本を脱出してきた人たちだ。

 彼らは首都バンコクでの「リタイアリッチ」の夢を諦めざるを得ず、チェンマイやチェンライといった地方都市に"脱出"し始めている。生活環境はバンコクより劣るが、飲食や住居などの出費は、大分安くつく。

 特に今、タイで日本人のリタイアプアが多く住む地域は、チェンマイだ。そのため、日本の高齢化と同じように、チェンマイで日本人の高齢化、"老人ホーム化"が進んでいる。