韓国憲法裁、朴槿恵大統領の罷免を宣告

韓国・ソウルの憲法裁判所前で、朴槿恵大統領の罷免宣告を喜ぶ人々(2017年3月10日撮影)〔AFPBB News

 昨年、韓国社会を震撼させた大事件はそろそろ最終段階にきている。朴槿恵氏は現在大統領職を罷免され、被告人として収監されている。

 そして、韓国の政界は新たな大統領選びに入った。次の大統領選挙はこれまでのように「冬の選挙」ではなく、韓国の街々をバラが彩る5月に行われることから俗称「バラの大選」と呼ばれている。

 バラの大統領選挙に誰が選ばれるのか、まだ予断を許さない。なぜなら、韓国の大統領選挙はいつも土壇場で意外なハプニングが起こり、それまで鉄板と思われた候補がたびたび足元をすくわれてきたからだ。

 今回も現在のレースでは共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)候補が有望株だが、彼には息子のスキャンダルがくすぶり続けており、それが最終的に彼の足元をすくうかもしれない。

大統領弾劾劇で漁夫の利を得た人たち

 さて、朴槿恵前大統領の演説文を崔順実(チェ・スンシル)被告が最終チェックしていたということで、国民は怒り心頭に発していたが、その傍らで思わぬ漁夫の利を得た人たちがいる。

 「大統領の話し方」と「大統領の書き方」という本の著者たちだ。

 特に、2014年に出版された「大統領の書き方」は、2016年の11月第1週にKYOBO文庫(韓国のブック最大手)ランキングで総合5位、YES24.com(本のネット販売大手)ランキング1位となった。

 朴前大統領の演説文が外部に流出していたという報道が出てから76.6倍の売り上げがあったという(前年同期比は25.5倍)。今はKYOBOでは総合11位に落ち込んだものの、昨年末には総合第1位になったというからすごい。

 著者の話では、2014年に出版された当時も結構売れてたのだが、2014年から2015、2016年まで3年間で売れた部数より、大統領の演説文を崔順実被告が直したという報道が出てから3か月間で売れた部数の方が多かったという。3年分を3か月で売ったわけだ。

 この本の著者、姜元国(カン・ウォンクク)氏のプロフィールを見ると、大宇グループの会長をはじめ、韓国のそうそうたる財閥の会長のスピーチライターを担当してきた。

 もともと大宇グループに所属していたが、韓国のIMF(国際通貨基金)危機で倒産を余儀なくされ仕事がなくなった彼は、知人のツテで金大中(キム・デジュン)大統領の演説文担当補佐官になる。