ソウルの東西を走るオリンピック道路を空港から江南に向かって走っていると、右手にノリャンジン水産市場が見えてくる。
先日、何気なくそちらを見ると、巨大な新築のビルが建っていた。延べ面積11万8346平方メートル、地下2階、地上6階建てのこのビルの外観は、宇宙船のようである。筆者は知らなかったが、今年の3月から営業を開始した新しい水産市場だという。
以前の伝統的な在来市場がなくなって、こんなすごいビルが建ったのか、と感心していると、その隣には壁ごとに赤いペイントで無数にバツがついている。まだ撤去されてない建物があるようだ。
ノリャンジン水産市場は、東京の築地市場のように海産物の卸売り市場である。
高い競売率に日本や中国から見学者続々
全国から引き揚げられた魚が、海のないソウルに一手にこちらに集まる。卸売り市場の隣に小売り市場もあるので、市民たちが安くて活きのいい魚を求めてやって来る。
ソウルには水産物卸売市場が6つあるが、ここの競売取引金額は2210億ウォン(2014年8月現在)で、他の5か所を合計した金額に等しい。
競売で落札される割合(競売率)が9割を超えるため、その秘密を探ろうと、日本や中国の水産関連機関だけでなく大学からも競売システムを学ぶために定期的に訪問客がやって来る。
最近は、早朝の卸売場での競りの様子や伝統的な在来市場として韓流ドラマのロケ地となったためか、1日500人もの個人旅行者たちが集まる観光スポットにもなっている。
1927年、現在のソウル駅の近くに韓国で初めての水産市場ができた。そこが手狭になって、1971年に移ってきたのが現在のノリャンジン水産市場の場所である。