「サステナブル・ブランド国際会議2017東京」で講演したネスレ日本の高岡浩三社長

「『新しい現実』の中に、『新しい顧客の問題』が潜んでいる。それに取り組むことが、人と企業と世界をより良く変える原動力につながっていく」

 こう語るのは、ネスレ日本の高岡浩三社長兼CEOである。

 高岡社長は2017年3月8日~9日に開催された「サステナブル・ブランド国際会議2017東京」で講演した。講演のタイトルは「ネスレのCSV戦略とサステナブルブランディング」。企業は「CSV」(Creating Shared Value:共通価値の創造)の考え方を事業戦略に組み込むことで、企業そのものの価値向上はもちろん、社会における存在価値も向上しうるという旨を、聴講者に向けて訴えた。

人口減少も1つのチャンス

 高岡社長が言う「新しい現実」とは、現在世界や各国が直面している、これまでに無い社会変化のことを指す。例えば日本においては人口減少問題が挙げられる。厚生労働省は約40年後に当たる2060年には総人口が9000万人を割ると推計している。2010年の国勢調査では人口1億2806万人なので、単純計算すると毎年76万人減っていく格好だ。