仕事中にスマホでトイレの空状況がわかる時代に?(写真はイメージ)

 KDDIは、2017年3月以降に法人向けのIoTクラウドサービス「KDDI IoT クラウド ~トイレ空室管理~」「KDDI IoT クラウド ~トイレ節水管理~」の提供を開始する。

 これまでKDDIは、15年以上前からM2M/IoT分野に取り組み、現在ではIoTクラウドから回線、デバイスまでワンストップで提供している。その一環として開始するのが、IoTを使ったトイレの管理サービスだ。

トイレの空き室管理でオフィス運用も効率化

 職場環境において「トイレ」は業務に大きな影響を与えているという。

 オフィストイレの意識調査(※1)では、全体の6割がオフィス環境で重視するのはトイレと回答し、男女ともにブースの数が足りないという声が約4割にのぼる結果となった。

 会議前にトイレが混雑して用を足せなかったり、他のフロアに空いているトイレを探しに行って、無駄な時間がかかり困った経験は多くの人にあるはずだ。

 「KDDI IoT クラウド ~トイレ空室管理~」は、マグネットセンサーをトイレ個室の各扉につけて開閉状態を検知し、KDDIのLTEネットワークを経由してクラウド上に蓄積。その情報をゲートウェイ経由でクラウドに通知、トイレの利用状況を可視化できるものだ。大規模な工事は必要なく、既存のトイレをそのまま利用できる手軽さが特徴だ。

IoTによるトイレの空室・節水管理について、KDDIの記者発表会にて

 利用者には、実際にトイレに行かずともパソコンやスマートフォン、タブレットから利用状況を確認でき、トイレの空室を探す時間や待ち時間を減らせるメリットがある。

タブレットでも空き室状況を確認できる

 管理者は、トイレの利用状況を1日(24時間)の時間別集計や月の日別集計で見ることができる。利用頻度に応じて清掃ルートや清掃間隔を変更したり、使われていないトイレは会議室にするなど、オフィスの運用効率化も可能だ。

 また、トイレ個室に設定した滞在時間を超過すると、担当者にメールでアラーム通知が行く設定もできる。安全管理はもちろんのこと、それを社員に周知するだけで長時間休憩が抑制でき、業務時間の有効活用にもなりえる。

先行導入事例で大幅な節水効果

 「KDDI IoT クラウド ~トイレ節水管理~」は、人感センサーとフラッシュバルブによる適切な水量コントロールで節水を実現する。トレイの個室内設置された人感センサーで利用者の滞在時間を計測し、大・小・流し忘れ、利用なしを判断、適切な水量の流し分けが可能に。また遠隔から流水量を調節することで、節水管理もできるようになる。

KDDIの記者発表で紹介された節水量。節水管理をすると、過剰水量がなくなり洗浄水量も大きく削減される

 先行導入した事例では、水道料金の大幅削減されている。

 地上9階、地下3階のオフィスビルでは、1ヵ月約620万円の水道料金が140万円になり、約77.5%のコスト削減効果があった。また、地上3階の商業施設で、利用頻度が高い女性トイレを中心に展開したところ、1ヵ月約1100万円の水道料金が460万円になるというこちらも大きな節水効果が見られた。

全便器を節水管理しなくても、大幅なコスト削減効果があった先行導入事例

 トイレの待ち時間における苦痛、水道料金のコスト負担を同時に解消できるIoTのトイレ管理は、オフィスだけでなく、商業施設や公共施設でも需要が高そうだ。


※1 LIXILオフィストイレの意識調査
http://iinavi.inax.lixil.co.jp/project/project/set/contents/pdf/han_se_1369.pdf

>>KDDI