高級感や温かみのある風合いが魅力の木製家具やフローリング。うっかりこぼしてしまった飲み物でしみがついてしまった。水分を吸った表面がふやけたりカビが発生したり。こんなはずじゃなかったのに・・・と、手入れに意外に手間がかかり不便を感じている人も多いのでは。

 そんな不便を解消する画期的な家具用材「リシスタ」がドイツで登場した。リシスタを用いた製品は、熱や湿気による収縮や変形がなく、汚れも水でふき取るだけ。

 しかも、籾殻というゴミを主な原料としているため、究極のエコ材でもある。熱帯林を乱伐から守る新たな環境保全の取り組みとして家具産業界から大きな期待が寄せられている。しかも廃材となったリシスタの50~60%は再利用が可能で、燃やしても有害なガスは発生しない。

リシスタの主原料は焼却処分する籾殻

MBM社CEOマルクスさん(左)とベルント・ドゥナさん兄弟 (写真:MBM 社提供、以下同)

 この材料を開発したのが、ドイツ・ミュンヘンのミュンヘン・ブールバード・モービル(以下MBM社)を経営するマルクスさんと弟のベルント・ドゥナさん(右の写真)。

 MBM社によれば、リシスタの原材料は「籾殻60%、岩塩22%、ミネラルオイル18%のハイブリッド素材」だそうだ。詳細は未公開だが、籾殻と合成樹脂のような重合体を加工した家具用材とでもいおうか。

 マレーシアで板状に加工された(業務委託)素材リシスタは、インドネシア・ジャワ島とベトナムのMBM製作所でいすやテーブル、フローリング材などに製品化している。

 リシスタ製品の人気のポイントは、「見た目は木のように高級で温かみがあり、手入れは木よりも簡単、環境保全にも貢献」ということ。

リシスタの加工処理は木材と同じ取り扱いが可能

 リシスタは、削る、研ぐ、磨く、切断、接着、ねじ止めなど木材と同じような取り扱いができる。温度や湿度の変化によるそりや曲がりなども全く生じない。

 太陽光線による熱抵抗性にも強く、重量は、木材の種類にもよるが、木製品とほぼ同じだそうだ。

 リシスタの表面は、水分をはじくのでふやけも生じないうえ、破片やとげもできない。フローリング上を素足で歩いても怪我をする心配もないし、表面にたまった水分ですべることもない。

 湿度が高いと繁殖しやすい細菌やカビの発生もない。通常の汚れなら、水でふき取るだけと手入れもごく簡単だ。