「期間限定」という言葉は、買い物好きの人にはどうしても心をくすぐられるキーワードだろう。ネットショップの間では、2008年頃から会員制の仕組みを取り入れたこうした限定販売モデルがトレンドとなり、様々な分野に広がり始めた。
会員限定、ブランド品をネットで格安に提供
そうしたブームの中、ファッション感度の高いママたちをメーンターゲットにしたネットショップ「ズーリリー(Zulily)」が好調だ。
シアトルを拠点に2009年1月からネット上でのオンラインディスカウントショップを展開するズーリリーのコンセプトは、「忙しいキャリアママの味方」。
ネット上で無料登録した会員に向けて、毎日10種類のブランドを、「イベント」と称して割引価格で紹介。72時間という「期間限定で」最大70%ディスカウントした商品を販売している。
ズーリリーの人気の秘密は、同社の仕入れ部門が激選したそのブランド品の数々にある。このサイトで扱われるほとんどのブランドは、これまでハイエンドのブティックやデパートでしか購入できなかったブランドばかりなのだ。
例えばセレブブランド、トリ・スペリングの「LittleMaven」の定価64ドルのサマードレスが、28.49ドルといったような具合だ。ほかにも、1190ドルのイタリア製のベビーベッドが600ドルということもある。
ファッション感覚の鋭いユーザーを歩く広告塔に
しかし、こうした特別価格の情報は、ネット上のサーチエンジンでは確認することはできない。なぜならこのサイトが会員向けに「閉ざされた」サイトだからだ。
とはいえ、会員になるのに費用が発生するわけではない。名前と電子メールのアドレスさえあれば、誰でも会員になれる。
会員制を取っている大きな理由は、ブランド価値の毀損を防ぐため。ファッション感覚の高いユーザーが集まった会員限定のサイトなので、ここでたとえ安く売っても、ブランドの認知度向上という広告的な価値が期待できる。
つまり、サイトの会員を歩く広告塔に活用しようというわけである。